夢中霧中道途中

なにかにどっぶりはまりたい

とりかへばや物語

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とりかへばや物語を図書館で借りました。

平安時代末期の本を田辺聖子さんが現代語訳されたものです。

少年少女古典文学館8巻。

読みやすくて挿絵も写真も解説も付いて、本当に良い本です。

平安時代の大臣の息子と娘が、女の子は活発、男の子はおとなしい人形遊びの好きな子に生まれつきました。

大臣は男の子と女の子を『とりかえばや』取り替えたいなぁと悩みますが、仕方なく生まれつき通り個性通りに育つに任せます。

大臣という立場上、帝に仕えさせなければならなくなり、もう、しょうがないと女の子を若君として出仕させます。男の子も姫として、帝の娘に仕えるのですが…

源氏物語みたいな本かなと読み進めると、意外に女性中心な話で、見目麗しい貴公子があんまりいろんな女性にガツガツしすぎてもてなかったりって所が、私的にすごいツボでした。

貴族以外の庶民の生活は全然違うでしょうが、貴族の女性って本当に大変だったろうなと思いましたよ。

歌を詠んで琴を弾いて、顔を見せないで男をゲット。

女性の実家に通い婚って事は、どのタイミングかで妻の実家に一緒に住み始めるのか、もしくは自分の屋敷に皆を引き取るのか、なんだか不思議ですよね。

昔は寿命も短かったしね。平均30歳ですって。

多分大きくなれる子どもが少なかったんですね。

この本は近世までずっと文学としては認められていなかったようです。倒錯的な内容だからという事のようです。

顔を隠して生きなければいけない貴族の姫が、どうやって世の中を渡って行くか、とても面白い本でした。